●事業所についてお聞かせください。

　合同会社かがやき（支援センターなつめ）は、平成22年12月に法人を設立し、翌年の3月に就労支援事業をスタートさせました。就労継続支援A型(※1) として18名の利用者が「従業員」として日々の業務に励んでいます。また、利用者をバックアップするために「生活支援員」「職業指導員」を配置して、生活面でのサポート、さらには一般企業への就職をサポートしています。
　利用者の業務は、果物や野菜の栽培・収穫等の「農業」と、収穫で得られた農作物を原材料とした「食品加工」を主に行っています。

●事業所ではどのような取り組みをされているのですか？

　当事業所では農業・食品加工のほかに商品開発も行っているんです。現在、琉球大学との共同研究で、これまで沖縄では無理だろうと言われていた食品加工ができるようになりました。まだ研究段階なので、どのようなものかお教えすることはできませんが(笑い)、沖縄にはまだまだ可能性がたくさんあるんですよ。幸いにも隣接する西原町・宜野湾市にはそれぞれ「キリスト教学院大学」「沖縄国際大学」がありますので、産学連携で「沖縄発商品」の開発に力を入れています。また中城村が推進する「地元特産品を使った給食の提供」ということで、この農園でとれたフルーツを提供しているんですよ。
　その中で、今回セルプセンターの方から4NA4NAブランド商品開発の話をきいたときに、ちょうど出張先で豆の栽培キットを見たんですね。それから調べてみると「ハーブ栽培キット」というものがあって、そのときにゴーヤーの栽培キットもあったんですね。それで「沖縄の野菜を使ってみよう」ということで「島やさいPOT」を作ったんです。現在は「ウンチェー」「島にんじん」「島とうがらし」「シマナー」の4種類だけども、今後はシリーズ化ができないかと考えています。

●事業を行う中でのこだわりとは？

　縁あって沖縄に生れ、沖縄で育ち、沖縄で生活していますので、地元の素材にこだわって発信していきたいですね。とことん「沖縄」にこだわるんです。また、発信していくからには「本物」を追求して提供したい。例えば無農薬野菜はもちろんですが、当農園では自然受粉用のミツバチも飼育していますので、そういったこだわりは追求していきます。消費者の口に入るものは、やはり「安心・安全」でないといけません。なぜそう言い切るかというと、昨今の食品問題もあるんだけど、私自身が病気を患ってしまってね、それがきっかけで健康食品も取り扱っているわけ。あとは、他の人が作らない「モノ」を作りたいですね。前例がないものを作りたい。「先駆者」です。なかなか難しいけども、だからこそ挑戦していきたい。そこに「やりがい」を感じて「こだわり」を追求していきたいんです。

●事業所として今後の目標は？

　就労支援の利用者を守っていくには、安定した事業を確立させないといけないですし、新たな事業も展開させていく必要があります。今後は、当農園で従事している障害者の方々と、農園に訪れた方々が交流できるような設備も整えていきたいですね。余談ですが、地域の保育園児を招いての収穫体験も計画していますよ。
　これからも利用者の就職活動や生活の自立をサポートしながら、さらには、地元「沖縄」に貢献できるような事業を展開していきたいと考えています。


※1 障がい者の雇用機会の拡大などを目指す事業として、2006年施行の「障害者自立支援法」で定められた。指定を受けた事業所は障がい者と雇用関係を結び、最低賃金を保障し、さらに社会保険の加入も義務付けられる。この事業では一般就労に必要な知識や能力を身に着け、最終的に一般企業への就職を目指す。

◆取材後記◆

　中城村奥間の山あいに広がる農園には、バンシルー（グヮバ）、マンゴー、島バナナなど所狭しと栽培されていて、普段の喧噪とはうって変わってゆったりとした空間。また、同村当間にある別の農園にはビニールハウスも設置していて、青々としたシマナー（からし菜）が美味しそうでした（笑い）。取材に応じていただいた代表の赤嶺さんは温厚なお人柄ですが、取材を始めるや否や、沖縄への思い、従業員への思い、そして自身の夢への思いなどを語っていただきました。取材終了後もその勢いが止まらない赤嶺さんに圧倒されながらも、僕も「チバランネーナランサヤー（頑張らないといけないなー）」と決意新たにできました。
　取材に応じていただいた代表の赤嶺さん、スタッフ・利用者の皆さん、ありがとうございました！


取材日：2013年11月29日
撮影：比嘉みどり
文　 ：下里卓也

◆企業情報◆

合同会社かがやき
〒901-2412　沖縄県中頭郡中城村奥間786
TEL:098-895-4120　FAX:098-895-4120

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